意思疎開

ムーンショット型人生

P-MODELを聞いてくれ

どうにかP-MODELを聞いてほしい。5分だけでも良いから。とっつきやすい曲をまとめたから。お願いだから。

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凍結前P-MODELが一番好き。

注: 当記事には雑誌やポスターの写真が多く出てくるが、掲載元・引用元がほとんどわからないのでその辺ご容赦願いたい。

まずLIVEの方法を聞いてくれ

歴代P-MODELの中でもアップテンポな曲をライブ風によりハイテンポ、高音圧にリミックスしたご褒美みたいなアルバムが「LIVEの方法」だ。全曲が抜群にとっつきやすいのでまずはこれを聞いてほしい。

3. OH MAMA!

7th「ワン・パターン」収録。明るいバンドサウンドでライブでも歌われまくった人気曲。「ドアの開けざまにママ張り倒せ」と当時の平沢進にしては珍しく牙がむき出しなのがとても良い。

7. HEAVEN

P-MODEL最高傑作とも言われる4th「PERSPECTIVE」の中でもトップの名曲。LIVEの方法版は陰鬱さが抜けて聞きやすいが、重苦しくも立体的な原曲も最高なので是非聞いてみてほしい。

1st「IN A MODEL ROOM」を聞いてくれ

平沢進(Vo)、田中靖美(Key)、秋山勝彦(Ba)、田井中貞利(Dr)らP-MODELが79年のメジャーデビューに引っさげた1枚。軽音部ではない。どピンクのシャツで飛び跳ねならが毒々しい社会批判を叫ぶ平沢青年は今見ても物凄い気迫だ。

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多分この時期の平沢。物凄い目をしている
1. 美術館で会った人だろ

P-MODELはじまりの曲。これとルーム・ランナーのデモテープをレコード会社に送ったことがデビューに繋がる。「美術館に火をつけるよ」と歌っているが平沢の父親は消防士。

10. MOMO色トリック

「ピンクは血の色」と何回も連呼してグロテスクを浮き彫りにさせるような曲。「ユージさんにはわかるまい」のユージさんは誰なのか。


上動画で美術館~は10:39から、MOMO色~は2:14から。ライブ映像はちょっと卑怯だが許してほしい。

3rd「potpourri」を聞いてくれ

2nd発表後秋山が脱退し、三人体制になったP-MODELのアルバム。テクノやロックからの脱却を宣言した平沢は、この頃より一気にダークサイドに染まり曲調も真っ暗になっていく。一方でヤケクソのようなシャウトには磨きがかかった。この頃から作詞作曲はほぼ平沢がするようになる。

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最高の一枚。右手前の田中が異様に美少年。左奥はおそらくサポメン(後にメンバー)の菊池達也(Ba)か
3. ジャングルベッドII

先日のフジロックではジャングルベッドI(1曲目のインスト曲)に歌詞をつけたジャングルベッド1.5が披露され、現地に居たが死ぬほど上がった。野性的な緊張感で張り詰める、P-MODELらしくないかなり独特な雰囲気になっている。

6. diffrent≠another

3rd収録曲では一番有名かもしれない。支離滅裂な歌詞をヤケクソシャウトで歌い切る平沢。物凄い。のちに平沢はアイスクリームで100年は生きられないと否定している。

6th(?) 「SCUBA」(カセット版)を聞いてくれ

5th発表時に会社に歌詞の修正を迫られた平沢はキレて会社を降り、ほぼ独力で制作したカセットブック「SCUBA」を別会社から発表した。5thとは対照的にかなりポップな曲調で、歌詞に混ざる寓話的モチーフなど後の平沢ソロの萌芽も見える。若干修正したCD版、フルリメイクのSCUBA RECYCLEが存在するが自分はこのカセットブック版が一番好き。

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チャップリンみたいな感じになっている。
1. FROZEN BEACH

すっきり柔らかい曲に平沢が素直な歌詞を朗々と歌い上げるガチの名曲中の名曲。平沢は当時の取材で「ラブソングです」とはっきり答えており、金星(時空の水)と並んで彼の曲では本当に異色の存在。しかも両方ともド名曲。一番好きな曲かも知れない。

3. 七節男

こちらは逆に奇妙な曲に物語的な歌詞が乗った不思議な曲。付属冊子「SCUBA物語」ではこの曲の基礎となるおとぎ話が書かれている。

七節男は上動画8:18~。

幻のアルバム 「モンスター」を聞いてくれ

7th発表後、平沢は8th「モンスター」を計画してメンバーも大幅に入れ替えていた。この時のメンバーは平沢進(Vo)、中野照夫(Ba)、キーボード妖怪ことぶき光(Key)、帰ってきた田井中貞利(Dr)。最も軽音部に近づいた時期でもある。新曲はほぼ完成しライブでも演奏されたが、会社交渉の難航やバンドと平沢のすれ違いから平沢はP-MODELの「凍結」を選ぶ。平沢は新たな音楽性を見せ、平沢の後継者だと噂が立つほど中野が頭角を現してP-MODELが変わろうとする時期だったので本当に勿体ない……

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左から田井中、平沢、中野、ことぶき。記事にあるMIDIギターは不調が多く、当時のライブで平沢は「P-MODEL恒例の(演奏の)やり直し」と冗談交じりに言っている
MONSTER A GO GO

ほぼ表題曲。百鬼夜行的なモチーフのもとおどろおどろしさと血生臭さを感じさせる。平沢ソロで有名な「パレード」にこの曲が混ぜ込まれており、そのためにボーカルのみ録り直している。下動画はそのボーカル新録版。

CALL UP HERE

中野作曲の先程とは一転して天国のような美しい曲。P-MODELで一番好きな曲を聞かれたらこれを言うかもしれない。ライブ音源しか無いのが惜しいがライブでもなお名曲。本当に好き。

ちょっと余談だがこの曲のけいおん!MADがあるのでこっちも聞いてほしい。感情が止まらない。

8th 「P-MODEL」を聞いてくれ

「凍結」後再結成を否定していた平沢が遂に2年後満を持して「解凍」。アルバム名に「P-MODEL」を与えたことからもその意気込みが伺える。改めて「テクノ・ポップ」を標榜し、メンバーも2ndでの脱退から帰ってきた秋山勝彦(Ba,Key,マラカス)と続投の妖怪ことぶき光(Key)、P-史上唯一ファンサができる男藤井ヤスチカ(Dr)の奇才たちが集まっている。

 

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解凍。

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左からことぶき、平沢、秋山、藤井。平沢の頭髪がかなりアレに見えるが、実際案外そうでもない。
1. SPEED TUBE

満に満を持した1曲目。言葉だと伝わる気がしないが、とにかくスピーディーでサイバーで超カッコいい。日本が平成の金余りとかスーファミとか言ってたのと同時期だ。信じられるか?

泣きそう。

2. 2D OR NOT 2D

この曲もまたちょっと面白くてカッコいいのだが、注目すべきは平沢お手製のMVだ。Amigaという今はなきパソコンを使って作られたMVは言ってしまえばサイケ、しかし92年と考えるとかなり先進的で映像としても面白い。その辺の縁でAmigaOS 4.0の起動音は平沢が担当している。

 

P-MODEL 2nd「гипноза」(Gipnoza)を聞いてくれ

別のバンドになってしまった。順を追うと、元より限定復活だった解凍P-MODELは94年「改訂」に入り、改訂P-MODELとして再開するも2001年に今度は「培養」に入って以降動きが無い。しかも平沢は今までの活動は謎物質(アシュオン)を集める実験で~とか言って2004年にソロバンドの「核P-MODEL」を結成、ディストピア色がドギツいゴアなテクノ「ビストロン」を発表した。そしてGipnozaはその核P-MODELの2ndにあたる。本作もディストピア的世界観で展開されるが、前作より丸くポップになった。平沢は核Pを初期P-MODELを真似たものだとしている。あとジャケットの平沢の目が怖い。

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平沢進(左)、どうした?*1
2. それ行け! Halycon

初期P-っぽくポップながら毒々しくていい曲だが、何よりの目玉はオリジナルメンバーで3rd発表後に脱退した田中靖美が参加している(!)ことだ。酒に酔わせて約束を取り付けたらしく、平沢はそのまま核P-に誘ったがそこは断られたと話していた。

10. Timelineの東

本作ラスト曲。社会的なことでなく直接的に「キミ」について歌う核Pとは思えない優しい音楽。個人的にはBOAT(SCUBA)の後日談だと思っている。本当にいい歌で聞くたびに泣いている。

 

P-MODELを聞いてくれ

平沢は自身を「ステルス・メジャー」と称していて、それは平沢進P-MODELという音楽に対してかなり的を射た表し方だと思う。インターネットだと割と有名人だが、現実で平沢進、特にP-MODELを知っている人間とは出会ったことがない。わざわざ「平沢進を聞いている」と言うことも無いのだが。

なにはともあれ、この記事を読んだからには是非めくるめくP-MODELの世界に飛び込んできてほしい。そして、今年5月にプレス・再販売予定のP-MODELボックスセット「太陽系亜種音」を購入してほしい。記事中で紹介した廃盤になっているSCUBA、LIVEの方法、「モンスター」収録予定曲も聞けるファン垂涎の一品だ。いややっぱり買わないで欲しい。俺がまだ買えてないから。

shop.teslakite.com

参考文献(出典)

平沢博物苑

P-MODEL - Wikipedia

その他諸々