意思疎開

ムーンショット型人生

現金全部消えろ2020

2019年はキャッシュレス元年と言われて久しい。サービス自体は以前よりあったが、やはり訪日外国人需要ブームと経産省の還元政策が大きかった。現金の計算ができない自分にとっては喜ばしい限りだが、一方で徐々に歪みも露見してきている。一体我々はどこへ向かうのだろうか。

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↑歪み。*1

踊れデンソーの掌で

決済サービスはどこまで増えるのか、有名どころだけでも5~6個は思い浮かぶ。それはつまり、MPM*2用のQRコードも5~6種あるということだ。レジ中にQRを貼り出してこれがキャッシュレスです、と言われても困る。

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合羽橋の店先。批評的なアート作品の可能性が否めない。

そんな冗長性を解消するためにもQRコード統一の話は出ていた。総務省主導「JPQR」は未だに岩手・長野・和歌山・福岡4県で先行実験中というトンチキ事業なのでもうどうでもいいが、民間で統一を目指すクラウドペイもいまいち普及を見ない。事業者らで相互利用を目指すMoPA*3LINEの離反で解消された。絶対許さない。結果として、QRコードの広域的相互利用の可能性はほぼ失われつつある。

 

そんなQR統一の機運にも関わらず、JPQRにもクラウドペイにも故・MoPAにも参画しなかった企業がいた。QRコード決済界の雄、PayPayのことである。

目指せ復権Yahoo! Japan

ヤフーに末期セガの面影を感じる。検索でもECでも大昔に敗れたのに、ヤフオクでさえメルカリとかいう若造に追い越された。米ヤフーの方は散々ゴタゴタをやった挙句ベライゾンに買収されてしまっている。

そんな苦境のヤフーが見つけた復権の足がかりがPayPayだったのだろう。PayPayモール、PayPayフリマを立ち上げ一気に他社を猛追しつつ楽天銀行には対応しない、Yahooプレミアム会員限定特典、と何とか囲い込みに持ち込んでいく。囲い込みアレルギー持ちなので普通に最悪なのだが、一方でPayPayの猛攻はそうそう見過ごせそうにない。

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LINE Pay | PayPay。これはちょっと。

後に引けないからだろうか、やはり初動にして群を抜く大規模還元キャンペーンとCMやのぼりのPR効果は大きかった。ユーザーシェアでは確か首位PayPayとLINE Payが拮抗していたはずだが(ソースは無いです)、実際MPMでの決済加盟店数では両者に極端な差が存在している。PayPayはQRコード決済界のフィクサーでありまた確かな王位を確保しているのだ。

キャッシュ・レス2020

さて、電子決済は今年代どうなるか。昨年は勿論7payやファミペイ、各銀行Payなどカスのバカpayどもが跳梁跋扈していたので、とにかく自然淘汰が進んでほしい限りだ。意思疎開ではローソンを応援しています。

今後決済サービスの中では、LINE PayとPayPayが勝ち残ると予想している。ZHDとLINEの経営統合により両者の相互利用も期待大だ。肝心の相互利用はまずAU Payと楽天ペイで実現し、メルカリのOrigami買収とドコモとの協業の報道も出た。そういえば交通系ICカードの全国相互利用も初めはこんな感じだったので、小規模の協業同士の連結から大規模な相互利用網が生まれるのを期待したい。JPQRはもう別に知らない。

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交通系ICカード全国相互利用の経緯。*4

それに、外国人向け需要でCCT*5の導入コストが低下しつつある。基本的にQRコードよりタッチ決済のほうが早くて楽なので、外人ブームに乗じた普及を期待したい。新SoCの技術で公的証明書が電子化できるという話もあって、将来的にはカード類を持ち歩かず済むようになるのが理想的だ。何故なら自分はよく物を失くすから。

変革が始まるタッチ決済の38度線

外伝としてタッチ決済のことも書かせてもらいたい。

そもそも日本のタッチ決済は歴史が古く、早くもゼロ年代序盤には交通系ソニー率いる連合のEdyJCBQUICPayEdy連合を離れたドコモのiD等大混戦となっていた。しかし全員FeliCaチップを採用していたので、マルチ対応のリーダーを共同開発することでひとまず停戦となっていたのである。プリペイド型(即時引落し)の交通系Edy、ポストペイ型(一括後払い)のiDやQUICPayで棲み分けができていたのも大きい。ところが最近、この均衡が一気に崩れだした。

以前よりQR決済サービスでタッチ決済にも対応しようという向きがあった。これにまず乗じたのがQUICPayで、LINE PayやKyashなどに対応している。続いてドコモのiDがメルペイに対応した。重要なのはどちらも残高から即時引落しであることだ。ポストペイ向けだった両者が、いよいよプリペイド陣営に挑戦を仕掛けたのである。それに対し楽天Edy楽天会員向け特典のプッシュ、Suicaでは鉄道利用も含めたポイント還元を打ち出すなど、還元競争が遂にタッチ決済界隈にも波及しだした。楽天ペイとSuicaの連携も発表され、タッチ決済界隈は今まさに本格的な戦乱と変革が訪れようとしている。

統括

金と争いは表裏一体だ。きっと経産省による還元が終わるまで銭の投げつけ合いは終わらないだろう。しかし、我々にとっての本番は還元政策終了後である。「現金全部消えろ」を合言葉に、2020、生きてまいりましょう。

脚注

*1:ダイヤモンドオンラインより。岡田悟記者撮影

*2:店舗にQRコード掲示し、利用者がアプリで読み取る形式

*3:Mobile PAyment platform。メルカリ(メルペイ)が立ち上げLINE Pay、d払い、AU Payが参画

*4:Wikipediaより。ButuCC氏作成。GNU FDLまたはCC BY 3.0ライセンスで提供

*5:クレジットカード決済端末。最近ではタッチ・QR決済に対応した機種も現れた